大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

甲府地方裁判所 昭和55年(む)170号 決定

主文

一、原裁判を取り消す。

二、被告人の保釈を許す。

三、保証金額を八〇万円とする。

四、被告人の住居を山梨県中巨摩郡○○町□□□□×××番地の××に制限する。

理由

第一申立の趣旨及び理由

本件準抗告の申立の趣旨と理由は、弁護人の提出の準抗告申立書に記載のとおりであるから、これを引用する。

第二当裁判所の判断

一件記録によると、本件犯行の動機、いきさつに関する被告人の供述と共犯関係にある相被告人小笠原信正の供述とは細部において食違いはあるけれども、被告人はもとより、小笠原も本件公訴事実を全面的に自白し、関係者に対する取調も終了しており、本件犯行時の状況、行為の態様、被告人の本件犯行に果した役割、窃取金の分配と使途など、罪体及び罪状に関する重要な点についてはすでに相当程度解明されているとみられるし、その他被告人に前科のないこと、生活状況など諸般の点を考えると、本件が未だ第一回公判期日前であることを十分しん酌しても、被告人に罪証を隠滅すると疑うに足りる相当の理由があるとは認められず、また、他に刑訴法八九条各号に該当する事実を認めるに足りる資料もない。

第三結論

以上のとおりとすると、本件申立は理由があるから、同法四三二条、四二六条二項により、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 神田正夫 裁判官 岩垂正起 高橋利文)

〈以下省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例